日本でも近年、金融リテラシー教育の重要性が注目され始めています。特に、経済のグローバル化やデジタル化に伴い、子どもたちが将来適切にお金を管理できるよう、早い段階で基礎的な知識を身につけることが必要です。この記事では、「子ども向け金融リテラシー教育の始め方」をテーマに、年齢に応じたアプローチや親ができるサポート方法について解説します。
1. 金融リテラシー教育がなぜ重要なのか?わかりやすい例とともに解説
現代社会で金融リテラシー(お金に関する基本的な知識やスキル)を持つことは、生きていくうえで非常に重要です。例えば、「お金がたくさんあれば幸せ」という考えだけでは、無計画な支出や不必要な借金に陥りやすく、結果的に生活が苦しくなってしまうことがあります。金融リテラシー教育があれば、収入と支出をバランスよく管理し、長期的な視野で計画を立てる力が身につくのです。
金融リテラシーとは、お金に関する基本的な知識やスキルを指します。
これは貯金、支出、投資、借金など、将来の生活に直結するお金の管理に不可欠です。子どもに金融リテラシーを身につけさせることで、以下のような効果が期待されます。
- 金銭感覚の形成:無駄遣いを減らし、計画的な生活ができるようになります。
- 目標設定の重要性の理解:目標を達成するために、計画や予算を考える力が養われます。
- 自立心の育成:お金の使い方を自ら考え、自分の将来に役立つ習慣が身につきます。
金融リテラシーをわかりやすく説明するために、お金を水に例えてみましょう。
もし水をみんなが無計画に使い続けると、いつかはダムの水も枯渇してしまいます。一方、自宅にも蓄えたり少しずつ計画的に使えば、地震などで水が使えないような困難な時期にも備えられるのです。
これと同様に、日頃から貯金や資産運用の基本を学び、少しずつでも貯める習慣を身につけることで、いざという時に安心して対応できるようになります。
さらに、金融リテラシーがあることで、ローンや借金を利用する際も冷静な判断ができるようになります。例えば、金利や返済計画についての知識がある人は、借金を「かしこく使う」ことが可能です。
たとえば、家の購入時にローンを利用する場合、最終的な返済金額と住宅や土地の資産価値を計算した結果「購入しない」という判断を下せるかもしれません。
住宅の購入はあくまで不動産投資。
賃貸暮らしであれば、景気の後進に伴ってより家賃の低い家に引っ越したり、小さな暮らしを選択するということも可能です。
一方で住宅の購入となると、不動産となるので、容易に住み替えることはできません。
景気が悪くなって、例えば会社が大規模なリストラを実施して無職になったとしても、給料の大幅カットがあったとしても、毎月の返済は必ずやってきます。
こんな場合にも、本当に耐えられるか?生活が困窮しないか?を数字を使って計算するんです。
このような基本的な金融リテラシーを持つことで、予期せぬ経済的なリスクにも強くなり、自分と家族の未来を守ることができます。
金融リテラシー教育は、特に子どもや若者にとって、将来の自立と経済的安定を支える重要な基盤です。早いうちからお金の基礎知識を身につけることで、大人になったときに自信を持ってお金の管理ができるようになります。金融リテラシー教育を通して、無駄遣いを避け、賢い選択ができる力を育てていきましょう。
2. 子ども向け金融教育を始める適切な時期とは?
金融教育は、日常生活の一部として取り入れることで自然に始められます。
では、どの年齢でどのような教育を行うのが適切なのでしょうか?
- 幼児期(3歳~6歳):お金の価値や使い方についての基本的な概念を教える段階です。たとえば、お店で「これを買うにはお金が必要」「お金を稼ぐためには・・・」といった具体的な事例を見せていきます。
こうすると、少しずつ「お金」というものの役割を体感して理解することができるようになります。 - 小学校低学年(7歳~9歳):この年齢になると、簡単な計算ができるようになるため、お小遣い制を導入し、自分で管理させることが効果的と言われています。
たとえば、毎週決まった額のお小遣いを与え、その中で自分が使う学用品や、好きなおもちゃなどを購入させることで、お金の使い方を学ばせることができます。 - 小学校高学年(10歳~12歳):貯金の概念や「欲しいもの」と「必要なもの」を区別する力が必要になります。
たとえば、目標額を設定し、貯金をすることで達成感を味わう体験が効果的です。また、お小遣い帳などを使って支出の管理をさせることも有益です。
3. 子ども向け金融リテラシー教育の方法と具体的なアイデア
子ども向けの金融リテラシー教育は、楽しみながら学べる環境を作ることが大切です。
ここでは、親子で取り組める具体的なアイデアを紹介しますね。
(1) お小遣い制を導入する
お小遣い制は、子どもが実際にお金を管理する最も基本的な方法です。ポイントとしては以下のような点が挙げられます。
- 定額制で支給する:毎週や毎月決まった額を与えることで、予算内でのやりくりを考える習慣が身につきます。
- 支出の記録を促す:お小遣い帳などに使ったお金を記録させることで、支出の管理能力を養います。(お金=計画的に使うもの という価値観が形成されます)
(2) ショッピング体験を活用する
買い物は、実際にお金の流れを体験できる良い機会です。親と一緒に買い物に行き、商品の値段を確認し、購入するかどうかを考えさせることで、お金の価値を実感できます。
- 予算内での選択を教える:「今日は○○円まで使えるよ」というように、限られた予算内で何を買うか考えさせることで、計画性や選択力が養われます。
(3) 貯金の楽しさを教える
貯金の重要性は、小さな目標を設定することで理解しやすくなります。例えば、貯金箱を使い、目標金額に達したらそのお金で欲しい物を買う経験をさせると、達成感とともに貯金の習慣が身につきます。
- 目標を設定する:子どもが欲しいもの(おもちゃやゲームなど)を目標にして、そのために少しずつ貯金をする体験をさせましょう。
(4) ゲームを活用する
お金について楽しく学べるゲームは、金融リテラシー教育において非常に効果的です。以下のようなゲームもあります!
1. モノポリー
- 対象年齢:8歳以上
- 学べる内容:資産管理、交渉術、リスク管理
- 概要:不動産を購入し、家賃収入を得ながら資産を増やすことを目指すボードゲームです。他のプレイヤーとの交渉や戦略的な判断が求められ、資産運用の基本を体験的に学べます。
2. 人生ゲーム
- 対象年齢:6歳以上
- 学べる内容:収入と支出のバランス、人生設計
- 概要:就職、結婚、住宅購入など、人生のイベントを体験しながら資金管理を行うゲームです。選択によって収入や支出が変動し、計画的なお金の使い方の重要性を学べます。
3. キャッシュフロー・フォー・キッズ
- 対象年齢:6歳以上
- 学べる内容:投資、資産形成、負債管理
- 概要:ロバート・キヨサキ氏が開発したゲームで、収入と支出、資産と負債の関係を学びます。ゲームを通じて、投資の基本や資産形成の重要性を理解できます。
4. 親が気をつけたいポイント
子どもの金融リテラシー教育において、親が意識するべきポイントは以下の通りです。
- お金の話をタブー視しない:家庭内でお金について話すことを避けず、日常的に話題に取り入れましょう。親がお金に関する話題をオープンにすることで、子どももお金の話に興味を持ちやすくなります。
- 模範となる行動を見せる:親が計画的にお金を管理する姿を見せることも大切です。例えば、無駄遣いをせず、目標に向かって貯金する姿勢を見せることで、子どもは自然とその習慣を学びます。
- 失敗を許容する:子どもはお金を失うことからも学びます。もし無駄遣いをした場合でも、怒るのではなく、「どうすれば良かったか」を一緒に考える機会にしましょう。
ある日のエピソード「おもちゃが欲しいから、貯金しよう!」
ある日、5歳の息子がおもちゃ屋で欲しいおもちゃを見つけましたが、手持ちのお小遣いでは足りませんでした。「どうしても欲しい」と泣き出しそうになりましたが、私は「まずは貯金をしてみよう」と提案。
その後、少しずつお小遣いを貯める姿を見守りました。
時には、お金を使いすぎてしまい、思うようにお金が貯められないこともありました。
その都度、お金を使いすぎてしまった原因について一緒に振り返りました。
例えば、自動販売機の飲み物は高いから、自分で水筒を持って行った方が安いということ。お友達との会話の中で、欲しいものは目まぐるしく移ろっていくこと。
テレビCMを見ると、美味しそうな食べ物や飲み物、素敵なおもちゃがたくさんあって、それに影響されて、少しずつお金が減ってしまっているということ。
そんな風にして伴走した期間は数ヶ月にのぼりました。
ついに目標金額に達したときは一緒にお店に行きました。
そして実際に欲しかったおもちゃを前にすると、息子は「これはもう欲しくないな。」とポツリ。
その体験から、時には欲しい!という衝動を我慢をしてみる(冷静な気持ちになる)ことも大事であることや、計画的な貯金の重要性を学んだようです。
その他にも、自分の興味はさまざまなものによって移ろっていくこと、さらにお金を管理する楽しさを感じたようでした。
私はこの経験を通して、お金についてオープンに話し、行動で見せることの大切さを実感しています。
5. 年齢別金融リテラシー教育のステップアップ
金融教育は、子どもの成長に合わせて段階的に深めていくことが理想です。以下は年齢に応じた教育内容のステップアップ例です。
- 中学生(13歳~15歳):中学生になると、より高度なお金の使い方を学ぶ時期です。例えば、利息や株など、貯金や投資の基本的な概念を紹介することで、将来の資産形成について意識させることができます。
- 高校生(16歳~18歳):アルバイトや銀行口座の開設が可能になる年齢です。実際にお金を稼ぐ体験を通じて、収入と支出の管理を学ばせましょう。また、クレジットカードやローンの仕組みなども説明することで、成人後の適切なお金の管理に役立ちます。
6. 子どもの金融リテラシー教育に役立つリソース
子どもの金融リテラシー教育を進める際には、役立つリソースや教材を利用することもおすすめです。
ちょっとかたくるしいかもしれませんが・・
金融広報中央委員会が運営する「知るぽると」の金融教育教材をベースに、考えてみると経済の仕組みや消費行動について意識するヒントが得られると思っています。
■知るぽると
https://www.shiruporuto.jp/public/document/container/jh_text/
ほかにも、日本銀行や金融庁のウェブサイトでは、子ども向けの金融教育教材や情報が提供されています!
■にちぎん⭐️キッズ
https://www.boj.or.jp/z/kids/book.html
■金融庁(くらしと金融)
https://www.fsa.go.jp/teach/kurashi/index.html
また、教育用の本やアプリも数多く出版されているので、親子で活用してみましょう。
7. まとめ:日常生活の中で金融リテラシーを育てよう
子どもに金融リテラシーを教えることは、将来の自立に向けた大切な第一歩です。日常生活の中で自然にお金の使い方を学ばせることで、楽しみながら金融教育を進めることができます。
お金を水に例えると、無計画な支出は水の枯渇を招きますが、計画的に貯めておくことで 水が全く手に入らないような困難な時期に備えられます。(災害対策と一緒ですね)
幼少期からの金融教育は、日常生活に根付いたわかりやすいところから始めてみましょう。
例えば、幼児期から小学生にはお小遣い制や貯金の体験を通じて金銭感覚を育みます。
また、親も模範となる行動を見せ、失敗を共有し、日常でお金の話をオープンにしていきましょう!